Il Viccolo di Madama Lucrezia
- Authors
- Mérimée, Prosper
- Publisher
- Ebooks libres et gratuits
- Tags
- nouvelles - contes
- Date
- 2011-10-02T00:00:00+00:00
- Size
- 0.04 MB
- Lang
- fr
・これは、『カルメン』の作家メリメの手になる、恐ろしくもユーモアに富んだ短編です。
[本書は縦書きで、対訳なしですが、横書きで対訳ありの Kindle 本として、「ルクレツィア・ボルジアの亡霊の棲む家——マダマ・ルクレツィア小路——[新訳 プラス 対訳]」も刊行中です]
……僕は23歳のときに、ローマに旅立った。ある夜、人っ子一人いない通りで、2階の窓から、白い服の女がバラの花を僕に投げ落とす。その後、謎めいたその女は、僕の前にいっこうに姿をみせなかった。やがて僕は、その家が、イタリア・ルネサンス時代の伝説的な悪女、淫乱かつ残虐非道で知られた美女であるルクレツィア・ボルジアが、かつて生前に住んだ家だとのうわさを耳にする。僕が出会ったのは、あのルクレツィアの亡霊なのだろうか? 僕がローマを去る日、ホテルにもどった僕は、ルクレツィアと名乗る美しい女が、ホテルの僕の部屋を訪れて、そこで待っていることを給仕から告げられる。……。
《「僕の部屋でだって?」僕は、階段の手すりをぎゅっと握りしめながら、叫んだ。
「はい、だんなさま。その女の方もいっしょに出発するようでございます。(…)」
僕は心臓が飛び